「銀行に預けてもほとんど利息がつかない」──そう感じたことはありませんか。
そんな中で注目を集めているのが、暗号資産を取引所などに貸し出して報酬を得る「レンディング」です。銀行預金に似た仕組みながら、年数%の利回りを狙える点が魅力とされています。
一方で、銀行預金のように元本が保証されるわけではなく、価格変動や事業者リスクが存在します。さらに、利息とは異なり、報酬は暗号資産のまま受け取るため、税金の取り扱いも銀行預金とは大きく異なります。
この記事では、レンディングの仕組みを初心者にもわかりやすく解説し、銀行預金との違いを比較表で整理したうえで、メリットとリスクを具体的に紹介します。
これから暗号資産投資を検討する方が「レンディングは自分に合うのか」を判断できるよう、実例を交えて分かりやすくお伝えします。
レンディングとは?基本の仕組みを解説
「レンディング」とは、保有している暗号資産を取引所や事業者に貸し出し、その対価として利息のような報酬を受け取る仕組みを指します。結論から言えば、銀行の定期預金に似た感覚で“資産を預けて増やす”方法です。ただし、銀行預金と同じではなく、法的な位置づけやリスクは大きく異なります。
レンディングの定義(暗号資産を貸して報酬を得る)
レンディングは、暗号資産を「消費貸借契約」として事業者に貸し出す仕組みです。契約終了時には、同量の暗号資産が返還され、さらに報酬として一定割合の暗号資産が付与されます。銀行預金が利息を得る仕組みと似ていますが、返ってくるのは“円”ではなく“暗号資産”である点が特徴です。
消費貸借契約としての位置づけ(銀行預金との法的な違い)
銀行預金は「預金契約」であり、預金保険による元本保証が存在します。一方、暗号資産レンディングは「消費貸借契約」として扱われ、元本保証や預金保険は一切ありません。つまり、利回りは高い反面、事業者リスクや市場価格の変動リスクを伴います。
代表的な国内取引所のサービス事例
- Coincheck 貸暗号資産サービス:ETHやBTCなどを一定期間貸し出し、最大年率5%の報酬を得られるプランあり。
- GMOコイン 貸暗号資産(ベーシック/プレミアム):通常の貸し出しに加え、円転特約付きの「プレミアム」では高利回りが期待できる。
- SBI VCトレード 貸コイン:ETHやADAに対応。申込不要で保有するだけで自動付与される仕組みも提供。
まとめ
レンディングは、暗号資産を貸し出して「ほったらかし」で報酬を得られる投資法です。銀行預金と似た部分はあるものの、元本保証がなく、返還されるのも暗号資産である点を理解することが大切です。
銀行預金との違いを徹底比較
「レンディングは銀行預金に似ている」とよく言われます。結論から言えば、両者は“資産を預けて増やす”点は共通しているものの、法的な位置づけやリスク構造はまったく異なります。以下の表で整理してみましょう。
レンディングと銀行預金の比較表
項目 | レンディング | 銀行預金 |
---|---|---|
契約形態 | 消費貸借契約(元本保証なし) | 預金契約(銀行法に基づく) |
保護制度 | なし(預金保険の対象外) | 預金保険で1,000万円+利息まで保護 |
利回り | 2〜5%前後(銘柄・取引所による) | 普通預金 0.001%前後/定期預金 0.25%程度 |
流動性 | ロック期間あり・途中解約不可の場合も | 原則自由に出金可能(一部定期は制限あり) |
返還資産 | 暗号資産(価格変動リスクあり) | 日本円(価値安定) |
課税 | 報酬付与時に課税(雑所得、最大55%) | 利子所得(源泉徴収で完結) |
※条件は変更される場合があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
違いから見えるポイント
- 安心感を重視するなら銀行預金:元本保証+預金保険で安全性が高い。
- 利回りを重視するならレンディング:銀行に比べて数十倍の水準を期待できる。
- 柔軟性で比較するなら銀行預金:自由に出し入れできる点で有利。
- 税務の手間では銀行預金が圧倒的に楽:レンディングは申告や記録が必要。
レンディングのメリット
結論から言えば、レンディングの最大の魅力は「銀行預金より高い利回りを、ほったらかしで得られる」点です。初心者でも始めやすい投資方法として注目されています。
銀行預金より高い利回りが期待できる
銀行の定期預金が0.25%前後にとどまるのに対し、レンディングは2〜5%程度の年率を期待できます。銘柄や取引所によってはさらに高い水準もあり、資産を効率的に増やせる可能性が広がります。
ほったらかしで運用できる仕組み
一度申し込みをすれば、貸し出した暗号資産は自動的に運用され、報酬が付与されます。チャートを常に確認する必要がないため、仕事や家庭で忙しい人でも続けやすいのが特徴です。
国内取引所なら始めやすい
CoincheckやGMOコイン、SBI VCトレードといった国内大手が公式にサービスを提供しています。金融庁に登録済みの取引所を選べば、海外サービスに比べて信頼性や使いやすさも高いです。特に初心者にとっては、日本円入出金やアプリ操作がスムーズである点が安心材料になります。
分散投資の一部として活用できる
レンディングは「メイン資産の一部」を効率的に増やす手段として使えます。全額を投じるのではなく、ポートフォリオの一部に組み入れることで、安定資産とリスク資産のバランスを取りやすくなります。
レンディングのリスクと注意点
レンディングは魅力的な仕組みですが、銀行預金とは異なるリスクを必ず理解する必要があります。結論から言えば、利回りの高さは裏を返せば「リスクと表裏一体」です。
価格変動リスク(元本価値の下落)
報酬は暗号資産で付与されるため、受け取った瞬間に価格が下落すれば、円換算でマイナスになる可能性があります。特にボラティリティの高いアルトコインでは、報酬を上回る下落も起こり得ます。
事業者リスク(倒産・ハッキング)
資産を貸し出す相手は取引所や事業者です。万が一、経営破綻やハッキング被害にあった場合、返還されないリスクが存在します。銀行預金のように預金保険で守られる仕組みはありません。
ロック期間と流動性の制限
多くのレンディングには「ロック期間」があり、その間は資金を引き出せません。急な資金需要に対応できないため、生活費や急ぎの出費に回す資金を投じるのは危険です。余剰資金で行うのが大前提となります。
税務の複雑さ(付与時課税と記録管理)
レンディングの報酬は「受け取った時点」で雑所得として課税されます。毎日少額で付与される場合もあり、記録の手間や確定申告の負担が増える点に注意が必要です。銀行預金の利息が源泉徴収で完結するのとは大きな違いです。
利回りが変動する不確実性
表示されている「年率◯%」はあくまで目安です。銘柄や市場の需給によって変動し、必ずしも同じ利回りが得られるとは限りません。高利回りをうたう案件ほど条件やリスクを慎重に確認する必要があります。
まとめ
レンディングは「ほったらかしで増やせる」という魅力の裏側に、価格・事業者・流動性・税務・変動といった複数のリスクが潜んでいます。これらを理解し、無理のない範囲で利用することが長期的な成功につながります。
銀行預金とレンディングはどちらが向いている?
結論から言えば、安全性を最優先するなら銀行預金、利回りを求めるならレンディングです。自分の資産運用方針とリスク許容度によって、どちらを選ぶべきかは変わります。
安全性重視なら銀行預金
銀行預金は「預金保険制度」により、1,000万円とその利息までが保護されます。元本割れのリスクがほぼなく、生活費や緊急時に備える資金を置く場所として最適です。
利回りを重視するならレンディング
「銀行に預けても増えない」と感じる人には、レンディングが選択肢となります。年2〜5%前後の利回りを期待でき、特に長期で暗号資産を保有する予定がある人にとっては資産を効率的に増やす手段になり得ます。
投資初心者が判断するためのチェックリスト
初心者は次のポイントを確認すると、自分に合うか判断しやすくなります。
- 資金の用途:生活費や急ぎの出費に使う予定があるなら銀行預金、余剰資金ならレンディング
- リスク許容度:元本保証を重視するなら銀行預金、変動を受け入れられるならレンディング
- 運用目的:資産を守るのが目的なら銀行預金、増やすのが目的ならレンディング
まとめ
銀行預金とレンディングは「どちらが正しい」というものではなく、目的に応じて使い分けるのが賢い方法です。生活資金は銀行に、余剰資金はレンディングに、と役割を分けることで安心と利回りの両立が可能になります。
レンディングを始める手順(国内取引所の場合)
結論から言えば、国内取引所でのレンディングは「口座開設 → 暗号資産購入 → レンディング申込」の3ステップで完結します。初心者でも数日以内に始められるのが特徴です。
1. 口座開設と本人確認
まずは金融庁に登録された国内取引所(Coincheck、GMOコイン、SBI VCトレードなど)で口座を開設します。本人確認書類を提出し、審査に通過すれば日本円の入金が可能になります。
2. 対象銘柄の購入
レンディングに対応している銘柄(ETH、ADA、DOTなど)を購入します。サービスによっては対象通貨が限定されるため、事前に公式ページで確認しておくことが重要です。
3. レンディングの申込
購入した暗号資産をレンディングに回すため、専用ページから申込を行います。
- Coincheck:貸出期間を30日〜365日で選択。利率は最大5%。
- GMOコイン:ベーシック(通常貸出)とプレミアム(円転特約あり)の2タイプを選択可能。
- SBI VCトレード:一部通貨は自動ステーキング方式で、保有しているだけで報酬付与。
4. 報酬の受取と管理
貸出期間が終了すると、元本と報酬が付与されます。報酬は暗号資産で返ってくるため、受取時の価格を記録し、税務に備えることが大切です。損益管理ツールを活用すると申告がスムーズになります。
まとめ
レンディングの始め方はシンプルですが、どの銘柄をどの期間で貸し出すかによって利回りもリスクも変わります。まずは少額で試し、仕組みに慣れながら徐々に金額を増やすのが安全です。
最後に|銀行預金と比較して見えるレンディングの本質
結論として、レンディングは「銀行預金のように資産を預けて増やせる仕組み」ですが、元本保証がない代わりに高利回りを狙える投資手法です。
銀行預金は預金保険によって守られ、安全性に優れています。その代わり利回りはほとんど期待できません。一方、レンディングは年2〜5%の利回りを狙えるものの、価格変動リスクや事業者リスク、ロック期間による制約が伴います。
この違いを理解すれば、銀行預金とレンディングは「どちらが優れているか」ではなく、資産の役割に応じて併用するのが最適だとわかります。生活資金や緊急時に備える資産は銀行に置き、余剰資金や中長期保有予定の暗号資産はレンディングに活用する。そうすることで、安全性とリターンのバランスを取った資産形成が可能になります。
最後に大切なのは、無理なく小額から始めることです。仕組みを理解しながら実践することで、初心者でもリスクを抑えてステップアップできます。