「暗号資産(仮想通貨)は儲かりそうだけど、元本割れして損をするのが怖い」と、投資への一歩を踏み出せずにいませんか?大切なお金が減ってしまうリスクは、誰にとっても大きな不安要素です。しかし、銀行預金とは違う「価格変動の仕組み」と、プロも実践する「守りの鉄則」を知れば、その不安は解消できます。
この記事では、暗号資産が元本割れする根本的な原因と、初心者でも今日から実践できる「リスクを最小限にする5つの対策」を徹底解説します。ただ怖がるのではなく、賢くリスクをコントロールして、安心して資産形成をスタートさせるための知識を身につけましょう。
暗号資産(仮想通貨)の「元本割れ」とはどのような状態か
暗号資産投資をスタートするとき、多くの人が最も不安に感じるのが「元本割れ」です。ここでは、具体的にどのような状態を指すのか、銀行預金との違いを交えて解説します。
- 投資した金額よりも資産価値が減ること
- 銀行預金とは異なる「元本保証なし」の仕組み
まずは、言葉の定義とリスクの基本ルールを正しく理解しましょう。
投資した金額よりも資産価値が減ること
元本割れとは、投資した資金(元本)よりも、現在の資産価値が下回っている状態です。例えば、10万円で購入したビットコインの価格が下落し、9万円の価値しかなくなるケースを指します。しかし、これはあくまで「評価額」が減っているだけであり、実際に損が確定したわけではありません。売却せずに保有し続ければ、価格が回復してプラスに戻る可能性もあります。焦って売却せず、冷静に状況を見極める姿勢が必要です。
銀行預金とは異なる「元本保証なし」の仕組み
銀行預金と暗号資産の決定的な違いは、元本が保証されているかどうかです。主な相違点は以下のとおりです。
| 項目 | 銀行預金 | 暗号資産 |
| 元本保証 | あり(原則) | なし |
| リスク | 低い | 高い |
| リターン | 利息のみ(低) | 値上がり益(高) |
銀行にお金を預ける感覚で暗号資産を購入すると、価格変動に驚いてしまうケースがよく見られます。暗号資産には「元本保証がない」前提を正しく理解し、余剰資金で運用を始める姿勢が求められます。
なぜ起こる?暗号資産が元本割れする主な原因
暗号資産で損失が出るのには明確な理由があります。主な原因を知り、対策の基本としましょう。
- 価格変動(ボラティリティ)が激しい
- 取引手数料やスプレッドによるコスト負担
- 高値掴みと狼狽(ろうばい)売り
これら3つの原因を深く理解し、自分の投資行動を振り返ってみてください。
価格変動(ボラティリティ)が激しい
暗号資産は株式や為替と比較して、価格の変動幅(ボラティリティ)が非常に大きいです。1日で10%以上価格が動くケースもよく見られます。これは大きな利益を生むチャンスでもありますが、同時に資産を急激に減らすリスクでもあります。ニュースや要人の発言だけで相場が乱高下するため、常に市場の動きを注視する必要があります。まずはこの激しい値動きに慣れるのが先決です。
取引手数料やスプレッドによるコスト負担
利益が出ていても、手数料を差し引くとマイナスになるケースがあります。特に初心者が意識すべきコストは以下のとおりです。
コストの種類
・売買手数料
・スプレッド(売値と買値の差)
・入出金手数料
販売所形式で取引する場合、スプレッドが実質的な手数料となり、購入直後に含み損からスタートする場合があります。頻繁な売買はコストがかさむため、取引回数を抑えるなどの工夫が必要です。コスト負けしない戦略を立てましょう。
高値掴みと狼狽(ろうばい)売り
価格が急騰しているときに「乗り遅れたくない」と購入し、下落した瞬間に焦って売却するパターンが典型的です。これを一般的に「高値掴み」や「狼狽売り」と呼びます。感情に任せた売買は、確実に資産を減らす原因となります。相場が過熱しているときこそ一度立ち止まり、冷静な判断を心がけましょう。事前に売買ルールを決めておくのが有効です。
初心者でもできる!元本割れリスクを最小限にする5つの対策
投資に絶対はありませんが、リスクを抑える方法はあります。初心者におすすめの5つの対策を紹介します。
- 購入時期を分散する「積立投資」
- 投資先を分ける「分散投資」
- 一時的な下落に動じない「長期保有」
- 生活費には手を付けない「余剰資金」での運用
- 信頼性と流動性が高い「メジャー通貨」を選ぶ
これらの手法を組み合わせることで、防御力を高められます。1つずつ見ていきましょう。
購入時期を分散する「積立投資(ドルコスト平均法)」
積立投資は、毎月決まった日に一定額を購入し続ける手法です。価格が高いときは少なく、安いときは多く購入できるため、結果的に平均取得単価を抑える効果があります。
積立投資のメリット
- 購入タイミングに迷わない
- 高値掴みのリスクを減らす
- 少額から手軽に始められる
相場の動きを気にせず淡々と買い増すだけで、精神的な安定も得られます。一度設定すれば自動で積み立てられるサービスも多いため、まずは月1万円程度から設定してみましょう。
投資先を分ける「分散投資」
1つの銘柄だけに集中投資すると、その通貨が暴落した際に資産全体が大きく傷つきます。複数の銘柄に資金を分ける分散投資が有効です。ビットコインだけでなく、イーサリアムなどを組み合わせるのが一般的です。特定の通貨に依存しないポートフォリオを組み、リスクを分散させることで、安定した運用を目指せます。
一時的な下落に動じない「長期保有」
短期間での売買を繰り返さず、年単位で保有し続ける「ガチホ(長期保有)」も強力な戦略です。短期売買と長期保有の違いを整理しました。
| 期間 | 初心者への推奨度 | 難易度 |
| 短期 | 低い | 高い |
| 長期 | 高い | 低い |
日々の細かい値動きに一喜一憂せず、数年後の市場成長に期待して持ち続けるのが賢明です。過去の歴史を見ても、長期的には右肩上がりの傾向があります。じっくりと資産が育つのを待ちましょう。
生活費には手を付けない「余剰資金」での運用
投資は必ず、当面使う予定のない「余剰資金」で始めましょう。生活費を削って投資すると、暴落時に冷静さを失い、損失が出るタイミングで泣く泣く売却せざるを得なくなります。心に余裕をもつには、無くなっても生活に支障がない金額に留める必要があります。健全なメンタル管理こそが、投資を長く続けるための土台となります。
信頼性と流動性が高い「メジャー通貨」を選ぶ
知名度が低く時価総額が小さい「草コイン」は、ハイリターンですが無価値になるリスクも高いです。最初はビットコインやイーサリアムなど、取引量が多く信頼性の高いメジャー通貨を選びましょう。多くの人が取引している通貨は、売りたいときに売れる「流動性」が高く、暴落リスクも比較的限定的です。まずは王道の銘柄から始めるのが無難です。
もし元本割れしてしまったら?冷静な対処法
対策をしていても、市場全体の暴落などで元本割れする可能性はゼロではありません。万が一のときにパニックにならないための対処法を解説します。
- 焦って売却せず回復を待つ
- 損失が確定するまでは「含み損」と理解する
- 税金対策(損益通算)のルールを確認する
事前に対応策を知っていれば、冷静な判断ができます。
焦って売却せず回復を待つ
評価額が下がったときに最も避けるべきは、パニックになって安値で売ってしまう行動です。暗号資産の歴史を振り返ると、大きな暴落のあとには価格を戻し、さらに最高値を更新する動きを繰り返してきました。もちろん将来の保証はありませんが、一時的な下落である可能性も高いです。相場が落ち着くまで静観し、回復を待つのも立派な投資戦略の1つです。
損失が確定するまでは「含み損」と理解する
画面上の数字が減っていると損をした気分になりますが、売却ボタンを押すまでは損失は確定していません。この状態を「含み損」と呼びます。
用語の整理
- 含み損:保有中に評価額が下がっている状態
- 実損:売却して損失を確定させた状態
「含み損」のうちは、まだ勝負の途中です。価格が戻ればプラスに転じるチャンスは残されています。この違いを明確に区別し、焦って「実損」に変えてしまわないよう注意が必要です。
税金対策(損益通算)のルールを確認する
もし損切りをして損失が確定した場合でも、同じ年内に発生した他の暗号資産の利益と相殺できます。これを「損益通算」といいます。例えば、ビットコインで10万円の利益があり、イーサリアムで10万円の損失が出た場合、トータルの利益は0円となり税金はかかりません。
| 項目 | 可否 | 詳細 |
| 暗号資産同士 | 可能 | 利益と損失を相殺できる |
| 株や給与との通算 | 不可 | 暗号資産は「雑所得」のため |
損失が出ても、税金を抑える効果として活用できる場合があります。確定申告のルールを把握しておくと、損失のショックを和らげられます。
まとめ:リスクを正しく理解して賢く運用を始めよう
暗号資産投資にリスクはつきものですが、正しく対処すれば資産を増やす有効な手段になります。最後に本記事のポイントを整理します。
本記事の要点
- 元本割れは「含み損」なら確定ではない
- 積立や分散投資でリスクを低減できる
- 余剰資金で長期的に運用する
まずは少額から始めて、少しずつ値動きに慣れていきましょう。知識を武器にすれば、漠然とした不安は自信へと変わります。今日から賢い運用をスタートさせてください。

