「暗号資産(仮想通貨)の取引を始めたけれど、買った瞬間に含み損が出ている」「手数料無料のはずなのに資産が減っている」と疑問を感じていませんか?
実は、その原因の多くは「スプレッド」と呼ばれる見えないコストにあります。スプレッドは実質的な手数料であり、仕組みを知らずに取引を続けると、知らないうちに資産を減らす恐れがあります。
この記事では、スプレッドの基本的な仕組みから、初心者でもコストを最小限に抑える具体的な方法までをわかりやすく解説。賢い取引方法を身につけて、利益を最大化させましょう。
暗号資産(仮想通貨)のスプレッドとは?実質的な手数料の仕組み
暗号資産取引において、見えにくいコストである「スプレッド」の仕組みと、なぜ手数料無料でも費用が発生するのかを解説します。
スプレッドの基本知識
- 買値と売値の価格差
- 実質的な隠れ手数料
- 具体的な計算事例
これらの仕組みを正しく理解し、無駄なコストを支払わないための知識を身につけましょう。
スプレッド=「買値」と「売値」の価格差

スプレッドとは、暗号資産を購入する価格(Ask)と売却する価格(Bid)の間に設定された「価格差」です。同じタイミングでも、買うときは高く、売るときは安く設定されています。例えば、海外旅行で日本円を外貨に両替する際の為替手数料と同じ仕組みです。この差額はユーザーが負担するコストとなり、取引所や販売所を運営する企業の利益となります。つまり、取引画面に表示される価格には、すでにこのコストが含まれています。
「取引手数料無料」でもコストがかかる理由
「取引手数料無料」と宣伝されていても、実際にはスプレッドという形でコストが発生します。多くの販売所では、売買の手間を省く代わりに見えない手数料としてスプレッドを価格に上乗せしています。ユーザーは手数料0円で取引できたと感じますが、実際には市場価格よりも割高で購入し、割安で売却しているのです。無料という言葉だけで判断せず、スプレッドを含めたトータルコストで比較する必要があります。
スプレッドの計算方法と具体例
スプレッドの計算はシンプルですが、実際の取引画面では明示されていない場合が多いです。具体的な計算例は以下のとおりです。
| 項目 | 価格例 | 備考 |
| 購入価格(Ask) | 500万円 | ユーザーが買う価格 |
| 売却価格(Bid) | 490万円 | ユーザーが売る価格 |
| スプレッド | 10万円 | 実質的な手数料 |
このケースでは、購入した瞬間に10万円分のマイナス(含み損)が発生した状態からスタートします。利益を出すには、このスプレッド分以上に価格が上昇しなければなりません。取引前に必ず買値と売値の差を確認し、どれくらいのコストがかかるのかを把握しましょう。
スプレッドが広がる主な原因とタイミング
スプレッドは常に一定ではなく、市場の状況によって大きく変動します。特にコストが割高になりやすいタイミングを整理しました。
スプレッドが広がるタイミング
- 価格変動が激しいとき
- 取引量が少ないとき
- 重要ニュースの発表時
これらの時期を避けることで、取引コストを最小限に抑えられます。それぞれの具体的な状況を解説します。
市場の価格変動(ボラティリティ)が激しいとき
価格が激しく動く局面では、交換業者がリスクを避けるためにスプレッドを広く設定します。相場が荒れていると、注文を安定して処理できず、業者側が損失を被る恐れがあるためです。例えば、ビットコインが数分間で急騰や急落を繰り返している最中は注意が必要です。高い手数料を避けるためには、相場が落ち着いて値動きが緩やかになってから注文を出すのが確実な方法です。
取引参加者が少なく流動性が低いとき
売り手と買い手が少なく取引が成立しにくい状況でも、スプレッドは広がりやすくなります。主なケースは以下のとおりです。
流動性が低いケース
- 知名度が低いアルトコイン
- 早朝や深夜の時間帯
- 年末年始などの連休中
取引相手が見つかりにくい環境では、業者側が提示する価格差が大きくなります。できるだけ取引量が多いメジャーな通貨や、多くのユーザーが活発に売買している時間帯を選ぶと安心です。
経済指標の発表や重要なニュースがあるとき
世界経済に関する重大な発表がある前後は、相場が不安定になりスプレッドが拡大します。特に影響力が大きいイベントは以下のとおりです。
| イベント名 | 影響 |
| 米国雇用統計 | ドル価格と連動して乱高下 |
| FOMC政策金利 | 市場のトレンドが転換する |
発表直後は価格差が極端に開く場合が多いです。経済指標のカレンダーを確認し、イベント通過後の値動きが安定したタイミングを狙って売買しましょう。
初心者でもできる!スプレッドを安く抑える3つの方法
無駄なコストを省くために、プロも実践している具体的な対策を紹介します。
スプレッド対策の基本
- 取引所形式を利用する
- 主要通貨を選ぶ
- 業者を比較する
これらを意識するだけで、手元に残る利益が変わります。それぞれの具体的な手順を解説します。
「販売所」ではなく「取引所(板取引)」を使う
販売所は手軽ですがコストが割高です。コストを抑えるなら、ユーザー同士で売買する「取引所(板取引)」を利用しましょう。仕組みの違いは以下のとおりです。

| 形式 | 取引相手 | コスト目安 |
| 販売所 | 運営会社 | 高い(3~5%程度) |
| 取引所 | 他のユーザー | 安い(0.1%程度) |
操作は少し複雑に見えますが、慣れれば簡単です。数%の手数料の差は、長期的な運用成績に大きく影響します。まずは少額から取引所での売買に挑戦してみましょう。
取引量の多い主要な暗号資産(ビットコインなど)を選ぶ
流動性が高いメジャーな通貨を選ぶと、スプレッドによる損失を抑えられます。取引量が多い銘柄は売買が活発で、価格差が縮小しやすいからです。おすすめの銘柄は以下のとおりです。
流動性が高い銘柄例
- ビットコイン(BTC)
- イーサリアム(ETH)
- リップル(XRP)
逆に知名度の低いアルトコインは、買い手が見つかりにくくスプレッドが広がる傾向があります。初心者のうちは、安定して取引できる上記の銘柄を中心に投資先を選定しましょう。
スプレッドが狭い・安定している交換業者を選ぶ
複数の暗号資産交換業者を比較し、スプレッドが狭い会社を選ぶのが賢明です。同じタイミングでも、A社とB社では提示価格が異なるケースがよくあります。特にキャンペーン期間中はスプレッドが縮小される場合もあるため、情報をこまめに確認しましょう。1つの口座に固執せず、状況に応じて有利な業者を使い分けるのが、賢い投資家の戦略です。
よくある質問:スプレッドと税金・確定申告の関係
利益が出た際に気になる税金の取り扱いについて解説します。スプレッドが経費になるのか、正しい申告ルールを確認しましょう。
スプレッドは経費として計上できる?
結論からいうと、スプレッドを単独の「経費」として計上する必要はありません。スプレッドは購入価格や売却価格の中にすでに含まれているからです。確定申告時の計算では、購入にかかった総額を取得価額とするため、自動的に利益から差し引かれる仕組みになっています。
| 項目 | 計上の可否 | 扱い |
| スプレッド | 不可 | 取得費・売却額に含まれる |
| 送金手数料 | 可能 | 必要経費として計上 |
| 出金手数料 | 可能 | 必要経費として計上 |
別途計算して経費欄に記入する必要はないので安心してください。ただし、実質的なコストである点に変わりはないため、日々の取引で安く抑える意識が必要です。

